Paul Gilroy(1956〜)

up!!★ポール・ギルロイ「文明主義に抗う」(初出2007年、小笠原博毅訳『黒い大西洋と知識人の現在』所収)、松籟社
重要なことは、コロニアルであれポストコロニアルであれ、多くの都市の日常生活で普段から当たり前のように行われているコンヴィヴィアルな社会的相互作用の対抗的歴史を作ろうとする試みである。コンヴィヴィアリティという概念は、解釈のための焦点をポストコロニアルな接触領域での出来事に先立つ文化資源から移行させる。出来事に先立つ文化資源ではなく、地域レヴェルでの慣習的相互作用の混交的なテンポと快楽に注目しようということだ。そこで生じる関心と生み出される衝突はともに、境界づけられた民族的エンクレーヴ〔飛び地〕という前提に揺さぶりをかける。その結果社会のイメージは、国民的で文明的な絵柄を形作るように並べられる文化の断片のモザイクではなくなる。そしてわれわれは、社会の経済的局面に注意を向け、固有の社会性を訴えるような欲望、翻訳、コスモポリタニズムや交差文化的想像力の目まぐるしいほどの荒々しいパターンを発見するのである。このパターンが階級や地域性、そして愛と仕事によって結び付けられた連帯の形式として際立たされるとしても、文化横断的な接触は生産的なものとして認識されるべきである。
引用者註
コンヴィヴィアリティ(conviviality):ふつう“宴会好き、陽気さ”といった意味。
本書註によると、イヴァン・イリイチの『シャドウ・ワーク』における概念を再利用しているらしい。
“ともに歓びをもって生きること”。